所有権や用益物権(地上権・永小作権・入会権・地役権)は取得時効の対象になります。
地役権については,民法第283条ただし書あり。
その土地又はその土地の一部が自分のものであると所有の意思をもって,20年間平穏且つ公然と他人の土地を占有した場合,その占有した土地の権利を取得できるという制度です。(民法第162条本文)
所有権の長期時効取得の要件は,1.自主占有,2.他人の物を平穏・公然と占有,3.20年の期間の占有です。
短期時効取得の要件は,1.自主占有,2.占有開始時において,善意・無過失,3.他人の物を平穏・公然と占有,4.10年の期間の占有です。
自主占有とは,占有者の判断で自己の物とし,所有者と同じように物を支配することです。したがって,占有する物に対して,所有者等に地代を払っている場合は,自己の物として占有していないので,他主占有となります。
平穏な占有とは,占有者がその物を占有開始時において,暴行脅迫等の行為を用いない占有です。
公然とは,その物を占有している事実を,占有者が誰であるか,不特定多数の者に知ることができる状態にさせ,隠蔽しない占有です。
善意とは,占有者自身に所有権があると信じることです。つまり,他人の土地であると知らなかった場合です。
無過失とは,善意であることに過失がないことです。
善意無過失の範囲は,主観的な要素だけでなく,自主占有認定の諸条件と取引の対応及び当事者の能力に応じて判断されます。